創立50周年記念誌
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12⑧天満橋全景 1995(平成7)年の兵庫県南部地震以降、昭和55年より古い設計基準で建設された道路橋に対しての耐震補強は優先的に実施されてきました。しかし、地方自治体が管理する橋梁のすべてにおいて耐震補強が実施されているわけではありません。大規模な地震が発生した場合、緊急輸送道路ネットワーク上に通行できない橋梁が1橋でもあれば、緊急車両の通行を確保できず、避難や物資輸送など人命にかかわる活動に支障をおよぼします。災害に強い道路ネットワークを構築する国土強靭化には、早急な耐震補強が不可欠と考えています。 県道佐賀八女線として西鉄天神大牟田線をまたぐ3径間の橋梁である天満橋(てんまんばし)⑧は、緊急輸送道路の二次ネットワークに指定され、地域の防災計画のうえで重要な路線に位置します。 天満橋の建設は1961(昭和36)年であり、昭和55年よりも古い耐震基準で建設されているため、柱の補強を必要とします。よくあることですが、建設当時の設計図面はまったく残っていませんので柱の鉄筋調査を実施しました。 耐震補強は、柱が粘り強く地震に耐えるための補強鉄筋を配置しています。柱を補強すると基礎杭へ伝わる地震力が大きくなります。このため、地下探査による基礎杭調査を行い、基礎杭の補強を必要とせずに基礎に与える影響を抑える補強を行っています。柱の補強は、3本で構成される柱の構造に着目し、柱間に補強鉄筋を配置する方法を採用しています⑨⑩。 この補強方法によって、西鉄天神大牟田線の建築限界を確保することに加え、柱に添架されている鉄道電気設備の移設を行う必要がないように対処しています。 今後も地域経済を支える道路ネットワーク整備、道路橋4車線化、既設橋梁の耐震補強による強靭化に貢献していきます。これまでに建設された橋梁、これから建設される橋梁を地域の経済・社会を支える良質なインフラとして、次世代に継承することがわたしたちの役割と考えています。そのため、品質確保、情報伝達、維持管理を確実に行うことが大切です。3次元モデルの活用、新工法採用などの新技術を橋梁設計に取り込むことで持続可能な社会の構築に貢献していきます。⑨天満橋 補強前⑩天満橋 補強後橋梁橋梁メンテナンスによる国土強靭化次世代に継承するために

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