17 鉄道は、公共交通の主役として地域生活を支える存在となっています。そのような鉄道ですが、道路との平面交差は「開かずの踏切」をもたらし、悲惨な事故につながったり、慢性的な交通渋滞を発生させたりするなど、深刻な社会問題になることがあります。 連続立体交差事業は、鉄道の一定区間を高架化もしくは地下化することで、多くの踏切道を除却し、踏切事故、騒音、排気ガスなどの交通公害、交通渋滞を一気に解消します。鉄道によって分断されていた市街地を一体的に整備することができるため、鉄道沿線の交通環境や居住環境を大きく改善する効果も期待できます。 さらには、側道・駅前広場・公共施設など、まちのインフラを同時整備することで、交通結節性も高まり、高架下利用による地域の活性化とまちづくりを促進します。 わたしたちは、2002(平成14)年から2022年の20年間、年代順に「西鉄天神大牟田線花畑駅付近連続立体交差事業」「西鉄宮地岳線(現:貝塚線)香椎副都心地区鉄道高架化①、香椎駅周辺連続立体交差事業」「西鉄天神大牟田線(春日原〜下大利)連続立体交差事業②」「西鉄天神大牟田線連続立体交差事業(雑餉隈駅付近)③」の設計業務を手がけてきました。 地域の活性化や良好な住環境の形成について、鉄道の役割が期待されるなか、連続立体交差事業に係る業務を通じて、地域の一体的なまちづくりに貢献しています。 鉄道構造物の設計に目を向けると、春日原連立事業からは従来の許容応力度法から性能照査型の設計法に移行しました。1995年1月に発生した兵庫県南部地震を契機に耐震設計法が大きく変わり、従来の海洋型地震動に加え、内陸型地震動についても検討する2段階設計法が標準化されました。②切り替え前夜最終電車通過(下大利駅前)①西鉄千早駅②春日原駅(高架駅)安全な輸送体系の確保と、新しい時間価値の創造。地域のまちづくりに貢献連続立体交差事業鉄道・軌道
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