創立50周年記念誌
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18 設計手法に係る大きな改正にあたり、設計実務の複雑化・高度化に対応するため、諸先輩方からアドバイスを得ながら、基準類や設計ソフトウェアの整備、講習会への積極的な参加を通し、新たな設計手法の習得に努めました。 鉄道用地内の営業線上空で高架工事を行う直上高架方式が採用され、営業線に近接して夜間に行う高架工事の安全性と施工性を向上するため、「高架構造ハーフプレキャスト工法の採用④」、「基礎杭施工時の孔壁崩壊防止のための回転圧入鋼管杭の採用」といった新技術の採用にもチャレンジしました。 ハーフプレキャスト(以下、「HPCa」という)工法は工場で製作した上層部材を列車運行の終了した夜間に架設する工法です。型枠や支保工が必要ないので、架設後は列車運行に影響を与えることなく上空での作業が可能となります。HPCaは、同一部材を工場で大量生産することでコスト縮減が図られるため、部材寸法や配筋の標準化、機械式定着や機械式継手を用いての配筋の単純化を念頭に設計しています。 春日原駅は2面4線形式の島式ホームですが、直上施工のためには現況ホームの状態で基礎杭を施工する必要があります。孔壁崩壊による軌道変状を避けるため、回転圧入鋼管杭工法を採用しました。ホーム下の狭隘な場所で全周回転機による杭施工を行うため、ホーム下に回転機設置用のトレンチ(溝)を設けたり、仮設構台を設置してホーム上空から杭施工を行ったりするなど、基礎杭の配置検討では施工性に十分に配慮して、高架橋のスパン割を計画しました。 春日原連立・雑餉隈連立の両事業は、2022年8月28日、無事に列車運行の高架切り替え⑤を迎えました。鉄道の高架化によって地域が活性化し「にぎわいのある街」が形成されるものと期待しています。⑤春日原駅全景(ドローンによる空撮)③雑餉隈2号踏切(高架化前)③雑餉隈3号踏切付近(高架化前)③雑餉隈5号踏切(高架化前)④ハーフプレキャスト梁架設(夜間)③井尻7号踏切(高架化前)⑤連立事業全景(ドローンによる空撮)(高架化後)(高架化後)(高架化後)(高架化後)④架設後鉄道上空作業(昼間)

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