創立50周年記念誌
23/44

⑤鋼製透過型砂防堰堤22 透過型砂防堰堤は、不透過型砂防堰堤と比較して大きな流木捕捉量を期待できます。環境面では河床の連続性を保ち、海岸線の後退や貯流水の腐敗による環境悪化を防ぎ、水生生物が自由に往来できるなど災害を防ぎ、自然と調和する砂防施設です。あわせて不透過型のコンクリート堰堤と比べて二酸化炭素排出量が少ないという点においても環境負荷が少ないといえます。 砂防堰堤の配置計画は、現地調査をもとに、河道が極力直線である箇所、堤長が短くできるよう尾根が張り出したところ、堰堤上流部のポケットが大きく土砂や木々が確実に捕捉できる箇所に計画しました。 河川堤防は、維持管理の容易さから「土堤防」が多く整備されました。 一方、豪雨による河川水位の上昇は、河川水が浸透流として川裏に流入し、河川堤防の決壊など甚大な被害につながることがあります⑥。 わたしたちは、河川整備の基本である確率規模を越える洪水、現在の施設能力を越える洪水に対し、氾濫被害を軽減する対策を進めています。 福岡市・那珂川市・春日市などの福岡都市圏を流れる二級河川「那珂川」では、洪水時を想定し、降雨および河川水が堤防内に浸透することで堤防が崩壊する被害を防ぐため、浸透流対策に取り組みました。 堤体の川裏のり尻に透水性の高い材料を用いたドレーン工など⑦を設置し、浸透した水を速やかに排水することで、堤防のり面とパイピングに対する安全性を高めています。 土砂災害の形態⑧は、土石流、地すべり、急傾斜地崩壊の3つに分けられます。福岡県内において土砂災害が発生する危険性のある箇所では、土砂災害防止法にもとづいて土砂災害警戒区域の指定に関するソフト対策、砂防施設の整備、地すべり対策事業、急傾斜地の崩壊による災害防止に関するハード対策など、災害防止に関する業務に数多く取り組んでいます。⑥浸透流の模式図⑦ドレーン工イメージ図河川氾濫・土砂災害を減らす

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る