創立50周年記念誌
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23 河川事業は、河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域のくらしや歴史・文化との調和に配慮する必要があります。 河川が本来もっている生物の生息・生育・繁殖環境など、多様な河川環境を保全・創出するため、わたしたちは多自然川づくり事業に取り組んでいます。 朝倉市を流れる「荷原川」は、九州北部豪雨で生物の生息環境が流出してしまうなどの影響を受けた河川のひとつです。災害復旧にあたり、荷原川を現地調査すると、ホタルが生息する河川であることがわかりました。災害復旧計画では、ホタルは水がきれい、水流が穏やか、のり面に草の生えるやわらかい土を好む、といったホタルの生息環境を取り戻すことにチャレンジしています。コンクリート護岸の上に植生や覆土を施し、ホタルの生息環境に配慮した河川護岸設計⑨としました。工事直後にはホタルの姿を見ることはできませんでしたが、「ホタル護岸」に植生が繁茂し、かなり原形に近い状態に戻った3年目⑩にホタルを見ることができるようになりました。 川づくりの基本である多自然川づくりを通して、大規模な災害復旧においても治水機能を十分に満たし、ホタルが生息しやすい自然に近い護岸⑪を整備することができました。⑧土砂災害の例(出典:福岡県ホームページ)⑩復旧工事完了後3年目の河川護岸⑪ホタル飛散イメージ(出典:朝倉市ホームページ)⑨施工直後の河川護岸景観と環境に配慮する河川空間創出

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