創立50周年記念誌
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25 わが国の上下水道整備は、明治以降に先人達の努力によって進められ、上水道は98%、下水道は78%にまで普及しています。一方、高度経済成長期に大きく整備が進んだ上下水道は、2036年には布設後50年以上を経過する管路の割合が全布設延長の約3割を占めるといった老朽化の進行が課題となってきます①②。 近年、災害の頻発するわが国では、管路の耐震化や更新とともに、集中豪雨への備えが必要です。 しかしながら、人口減少にともなう上下水道利用料の減収などによって、施設の維持管理に必要な財源の確保が困難になってきています。 このような社会情勢のなか、上下水道のさまざまな課題を解決すべく、わたしたちは、日常生活の安全と安心を提供するため、上下水道施設の効果的・効率的な整備の実現に向けて取り組んでいます。 近年の頻発する豪雨にともない、福岡県でも多くの浸水被害が発生しています。これらの浸水被害解消に向け、浸水原因の詳細な調査、既存施設の有効活用の最大化、浸水低減、対策コストの抑制に取り組んでいます。 福岡市南区の警弥郷雨水幹線は、降雨時の速やかな雨水排出施設であるとともに、農業用水施設をも兼ねているなど、地域の重要な雨水排水・利活用施設です。 浸水対策の検討では、警弥郷雨水幹線流域の水路に水位計を設置して③降雨時の水位を調査するとともに、河川放流までの水路区間に配置されている転倒堰が確実に機能しているか検証しました④。 降雨時の水位に対し、堰などの関連施設がどのように連動しているか、実測データをもとに分析し、コスト面に優しく、有効性の高い浸水対策を提案しています。①水道管路漏水事故の事例(出典:厚生労働省 HP)②下水道管路施設の年度別整備・管理延長(出典:令和2年度末 国士交通省 HP)③水位計設置状況④豪雨時流下状況多彩な対応を通じて、下水道事業の進展に寄与。まちの浸水を解消する上下水道

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