新設雨水側溝新設汚既設合水管流管26 早くから下水道事業に取り組んできた自治体では、雨水と汚水を効率的に集めて処理する合流地区が残っており、福岡市南区高宮地区の八幡宮周辺もかつては合流地区であったため、周囲には古い家屋が点在しています。 こうした家屋では雨水と汚水が同一の下水道管(合流管渠)に接続されており、未処理下水が河川へ放流されるなど、公衆衛生上の問題となっています。雨水と汚水とに完全分流することで合流地区の公衆衛生を向上していく必要があります。 現状把握のため、雨水流下状況の流域調査や雨天時・晴天時の公共桝調査を行い、分流家屋と合流家屋の確認を行いました。分流化を進めるにあたり、これらの合流家屋が建て替わるまで、中・長期的な視野で宅内排水を雨水と汚水とに分流化することになります。また、この地域にある2つの雨水調整池から、流下能力に余裕のある雨水幹線に分水し、下流域の浸水解消に努め、雨水と汚水の完全分流化に向けた「暫定整備」を提案しています。 一方、既設の合流管渠は狭い道路の真中付近に敷設され、その他さまざまな地下埋設物が占用しています。こうした制約のなかで既設の合流管渠を有効利用しながら、効率的で経済的に分流化する整備計画としています⑤⑥。 雨水計画では、雨水調整池からの分水量を計画し「分水桝⑦⑧」の構造検討を行いました。既設の合流渠の流下能力に余裕がない区間には、流入する雨水量を減らすために側溝を整備しています。 また、既設の合流管渠を雨水管として利用し、新たに汚水管渠を敷設することで「将来整備」に向けた「暫定整備」とする合理的な解決策を提案しています。 「暫定整備」として新設する汚水管の管径を決定するにあたり、分流されるまでの合流家屋からは雨水と汚水の両方が排出されるため、既設の合流管渠の最大流下能力で整備することにより、完全分流化までの間に発生する浸水リスクを軽減する対策を行っています。(A)→平尾第10雨水幹線へ(分水桝)(ホンナン下池)平尾第14雨水幹線へ(A)正面図⑤新設雨水側溝敷設状況⑥新設汚水管敷設状況⑦分水桝⑧分水桝略図(B)正面図既存ストックを有効利用する
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