創立50周年記念誌
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30 跨線橋③④は、西鉄天神大牟田線・甘木線および貝塚線に数多く架かっています。跨線橋の管理者は国、県、市町村、民間にわたり、現在50橋が存在します。最も古い跨線橋は、都府楼前駅に架かる県道福岡日田線の「古川橋」で、1932(昭和7)年に架設され、90年が経過しています。 跨線橋の損傷が進行すると、コンクリート片落下やボルト脱落によって、跨線橋の下を走行する列車の車両事故や第三者災害につながるため、定期的な点検によって事故を未然に防ぐことが大切です。 跨線橋の点検は一般的な道路橋と違い、点検計画を慎重に進める必要があります。点検作業は、営業列車の終了後に行いますが、作業時間は深夜帯の約3時間と短い時間に限られます。跨線橋の下には電気・通信ケーブルなど多くの鉄道施設があるため、電気を止めて行う停電作業となります。停電作業の許可を得られる工程についても限定されるため、連続して作業を計画することはできません。一方、点検作業を行う際の足場として使用するのがレール上を走行する軌陸式高所作業車です。リース会社でも保有台数が少なく、時期によっては1カ月待ちになることもあります。 跨線橋を点検する担当者には重要な役割があります。軌道内の作業では、西鉄の認定資格である「工事管理者」が必要です。わたしたちはこの認定資格を保有することで、鉄道関連業務に関する関係機関との事前協議、施設立ち入り申請など、有資格者が責任者となって万全の体制で跨線橋点検に従事しています。③軌道内点検(夜間) 跨線橋点検のなかでも特殊なものが、西鉄天神大牟田線の柳川〜徳益間をまたぐ有明沿岸道路跨線橋の点検です。西鉄柳川駅の南側に位置し、営業線に隣接して柳川車両基地があります。夜間には、営業運用を終えた多くの車両がこの車両基地に集まるため、軌陸式高所作業車を使うことができません。各種の点検用作業車を検討しましたが、どれも上手く適用できるものがなく、近接目視による点検は不可能と思われました。しかし、作業車にとらわれない点検方法を見つけました。「ロープアクセス」⑤といわれる点検方法です。点検員がみずからロープをつたいながら渡ることで橋梁を点検する方法であり、まさに「神業」です。ロープアクセスによって高所作業車が使えない跨線橋の定期点検を行うことができるようになり、隅々を漏れなく点検することが可能になりました。⑤ロープアクセスによる跨線橋点検状況④軌道近接点検(昼間)鉄道上空跨線橋点検特殊な点検方法

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