33 インフラ版DXの展開に期待が寄せられるなか、新技術の導入による鉄道メンテナンスの効率化にチャレンジし、新たな顧客価値の提供に取り組んでいます。 鉄道構造物には、2年ごとの定期検査が義務づけられています。西日本鉄道は西鉄天神大牟田線(太宰府線・甘木線含む)と西鉄貝塚線の両路線を合わせると、橋梁477橋、高架橋延長25.5km、のり面延長38km、駅プラットホーム98面の鉄道施設を保有しています。わたしたちは、これら鉄道施設の検査業務を専門的な視点で支援しています。 定期検査では、現場で構造物の変状箇所を撮影し、帳票用紙に変状を手書きで記録します。事務所では、現場の記録にもとづいて写真台帳、変状要因、損傷ランクの調書や一覧表のとりまとめを行います。このとりまとめ作業は、手入力で行っているため、大変な労力を費やす必要がありますし、作業後のチェックで入力間違いが見つかることもあります。 そこで、デジタル技術によって現場の入力作業を効率的に行い、業務の生産性を高めることにしました。現在「i-Reporter」という現場帳票電子化システムを活用するオリジナルアプリ「構造物検査用タブレット」①の開発を行っています②。 アプリ開発は、西鉄グループでITソリューション事業を行っている西鉄情報システムの協力を得て、従来の現場作業や調書作成における問題点の抽出と解決方法を検討すること約4カ月、実証実験をふまえて実装することができました。 現場ではタブレット端末で変状箇所の写真を撮影するとともに、構造物名と変状に関する情報をその場で入力します。すべてのデータは、現場からクラウドに保存され、写真台帳・調書・一覧表を自動作成することができます。これまで苦労していた現場での手書きによる記録、事務所での入力作業を大幅に削減することができました。今後は変状要因の分析や健全度診断など、データハンドリングの充実を図っていきます。②従来作業とi-Reporter 導入後の比較①構造物検査用タブレット端末作業手順①カメラによる撮影 黒板に手書きで項目を記入②手作業による調書作成③報告書作成1.現場調査2.写真整理3.調書作成4.報告書作成手作業により時間・コストが増大!自動化により時間・コストを大幅削減!■ 従 来急速に変化する社会環境に対応するため、インフラ版DXを展開。自動化写真整理不要!自動化入力作業不要!■ i-Reporter ①スマホ・タブレットによる撮影 電子黒板にプルダウンで項目を選択②自動による調書作成③報告書作成点検業務のデジタル化DX・ICT・災害復旧・発注者支援
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