BCP対策として重要データを関東から九州へバックアップ

国際興業株式会社様

国際興業株式会社様は「お客様第一」の経営姿勢を大切にしながら、運輸・交通事業、ホテル・レジャー、流通・商事、不動産開発等、様々な事業を展開されています。最近では羽田空港の国際化に伴い、高速バス事業で東京北部~埼玉県と羽田を結ぶ空港連絡バスを拡大しており、大宮・浦和・川口・赤羽・王子や池袋などから羽田へのアクセスの利便性を向上させています。国内のホテル事業では、日本のリゾートホテルを切り拓いたグループ企業「富士屋ホテル」を中心に、そして、海外のホテル事業では、アメリカ本土やハワイにおいて、シェラトンやウェスティンなどの世界的なホテルチェーンブランドとの提携によって事業展開しています。また、国内に4コース90ホールのゴルフ場を運営しています。今回、情報システム部門としてICTの側面から事業継続・災害復旧対策に取り組まれる中でバックアップサイトとして、にしてつデータセンターをお選びいただいた理由についてお聞きしました。

羽田空港連絡バス

富士屋ホテル 花御殿

ハワイ ワイキキのホテル群

総務部 情報システム課
バックアップサイト検討メンバーの皆様

1.背景

あらゆる災害に備えた事業継続対策の強化

2011年の東日本大震災を契機に事業継続・災害復旧(BCP・DR)対策として重要なシステム・データについては、本社電算室から東京近郊のデータセンターへ移設を行い、セキュアかつ堅牢な環境下での運用管理を実現しました。その後次の段階として、より広範囲な天災や人災のリスクを想定した事業継続・災害復旧対策の強化を迫られていました。

2.検討の目的

メインサイト被災を想定したバックアップサイトの検討

メインサイトのバックアップについては同一データセンター内でも行っていますが、データセンターの場所が東京近郊であることから、活発な火山活動による巨大噴石など激甚災害に見舞われた場合、如何に堅牢なデータセンターといえども建物自体が倒壊してしまってはデータが消失してしまう可能性があります。その他にも人的なオペレーションミスによるデータ消失など事業継続の為には、現実的に起こり得る様々なリスクを想定しなければなりません。その対策としてメインサイトと別にバックアップサイトを検討する必要がありました。

3.選定条件

バックアップサイトに求める条件とは?

今回、バックアップサイトを検討するにあたり、前提条件としてメインサイトと電力エリアが異なるデータセンターを対象に大きく2つのポイントを重視して検討を進めました。
① 災害リスクが低くメインサイトから遠距離であること、そのうえで緊急時には八重洲本社から半日程度で
   駆け付け可能な交通アクセスを備えていること。
② 地震や水害に対して優れた災害対策設備を備えていること、但しコストとのバランスは重要。

4.決定理由

立地、設備、費用のトータルバランスの良さが決め手

今回、国内複数のデータセンターを比較した結果、大きく4つの理由でにしてつデータセンターをバックアップサイトに決めました。
① 福岡市内に立地する都市型のデータセンターでありながら、免震構造や電源設備・セキュリティ面において安心できるファシリティを備えている。
② メインサイトから約1,000kmの距離を置きながらも、駆け付けの際は八重洲本社からデータセンター
まで3~5時間で到着でき、交通手段も飛行機、新幹線など複数ある。
③ 福岡市にも河川や湾などあるが、万が一の水害に備えてデータセンター区画は電源設備を含め建物の上層階にあり津波・洪水の心配が低い、また、福岡県内の重要施設が付近に多いことから受電環境や災害発生時の復旧面において安心感がある。
④ データセンター建物内の一部が災害対策オフィスとして利用されている例もあり、建物自体の信頼性が高い点も選定理由として大きい。

5.成果と展望

二段構えのバックアップの実現、さらなるBCP対策強化も視野に

今回、関東のメインサイトと福岡のバックアップサイトを結ぶ仕組みを構築出来たことで、災害などによってメインサイトのシステムやデータが消失した場合でも、バックアップサイトにシステム・データが複製されているので大地震などの広域災害への対策として有効な施策となりました。バックアップサイト運用開始後も安定稼動を続けており、2016年4月に発生した熊本・大分地震の際も心配はありましたが、地震発生直後に安定稼動している旨の連絡があり安心できました。
今後はメインサイトが被災して機能しなくなった場合に1~2時間後に起動してリカバリー出来る「遠隔地ディザスタ・リカバリー・サイト」の設置を検討する際も候補先として検討していきたい。